【講演会】オリンピックでしか味わえない緊張感、プレッシャー感を楽しむ

森末慎二氏スポーツ講演会

2020東京オリンピック・パラリンピックの楽しみ方

1月25日午後2時から燕三条地場産業振興センターで、オリンピック体操金メダリストの森末慎二氏のスポーツ講演会が開催され、「2020東京オリンピック・パラリンピックの楽しみ方 〜日本のお家芸体操への期待〜」のテーマで話を聞いた。

講師の森末氏は岡山県岡山市出身。関西高校で本格的に体操を始め、日本体育大学に入学。1984年のロサンゼルスオリンピックに出場し体操競技団体銅メダル、跳馬銀メダル、鉄棒金メダルを獲得。オリジナル技「モリスエ」(後方棒上かかえ込み2回宙返り腕支持)を生み出し世界を魅了した。引退後はタレントとしてテレビ・ラジオなどで活躍中。アニメ「ガンバリスト!駿」の原作も手がけた。講演会は新潟県の燕市教育委員会が主催した。

鈴木力燕市長はあいさつで森末氏の10点満点の鉄棒が忘れられないと話し、今夏開催される東京オリンピック・パラリンピックについて「選手村の食堂で燕市の洋食器が採用された。その洋食器で美味しい食事を摂った選手たちの活躍が楽しみ」、燕市で事前キャンプを行うモンゴルの「パラリンピックアーチェリーチームがどのように活躍するか」の2つの楽しみ方を提案した。

1984年のロス五輪体操鉄棒で10点満点を取った時のDVDが流された後、200名ほどの市民で満員の会場に入場した森末氏が「すごいでしょう。35年前ですよ、内村航平もすごいけど」と第一声。持参した金、銀、銅メダルを取り出し、第23回オリンピアードロスアンゼルスと書いてある表のデザインは1900年以降から変わっていない、中身は銀メダルで金メッキしてあり、重さは約140グラムの金メダルを「持って帰らないで、削らないで」と念を押し、全員が手にとって見られるように会場にまわした。

100年に一人の選手と言われる内村航平選手について、世界選手権6連覇、オリンピック2連覇、北京五輪でも鞍馬で失敗していなければ五輪3連覇のスーパースターは「この先もう出ないと思う」。体操競技は、金メダル確実ですね、と言われるが「大変です」。

ひねり王子の白井健三選手については、自身が現役の頃の床運動は間にゴムが入った8cm位の床、そこで3回ひねりをしていたが、今は20cm以上の床の高さ、中にはスプリングが入っていて厚い絨毯がしいてあるトランポリンのような床で、この床なら「私も4回ひねり位はできるだろう」が、白井選手の凄さは70秒の床競技の間にあっちでひねり、回って倒立して最後に4回ひねりをすること。だが他の種目であまり得点がだせないので「正念場だ」。

森末氏が大学3年生の3月にアキレス腱断裂をして2ヶ月間入院をした。先輩の具志堅幸司さんもアキレス腱断裂で同部屋に入院。真面目な具志堅さんがベッドで自転車のチューブを使ってトレーニングをしていて、一緒におこなった。ギブスが外れたら二人で病院のリハビリステーションでトレーニングをしたら、上半身に筋肉がついてパワーがアップ、つり輪や鞍馬でバランスを崩さず演技できるようになった。
全日本選手権で個人総合2位になりナショナルチームに入り、アジア大会、ユニバーシアードなどで成績を残し五輪代表にもなってメダリストにもなった。

これは力がついたから、つまり具志堅さんのおかげだが「(それでも具志堅さんは)きらいだ」。

緊張感、プレッシャー感を楽しむ

選手が「楽しんできます」というが、遊ぶという意味ではなく、オリンピックでしか味わえない緊張感、プレッシャー感を楽しむということ。

ロス五輪で床、鞍馬、つり輪と演技し4種目目の跳馬は9.90、次の平行棒で「モリスエ」という技があるがA難度の技で落下し8.75、メダルがなくなった。失敗したなと落ち込んだら、周りが見えてきた。

6番目で演技した最終種目の鉄棒で片手の大車輪3回、離れ業が連続3回、最後に大車輪、空中に飛び出し膝を抱え込んで降りるまでの1秒で、降り技が3回宙返り、そろそろ床かなと思ったらはるか下に床があり綺麗に着地が決まり、10.00。

その後39度の熱が続き個人種目当日も38.5度の熱。
鉄棒種目で6番目に演技した具志堅さんが10.00、持ち点との合計が19.95、7番めの中国選手も10.00、合計19.975でその差はほんの僅か。自身の着地が決まれば金、着地が乱れれば4位、という状況の中ここで落ち着け、いつも通りと考える人はパニックになっている人。

4年に1回の大舞台で落ち着くことなど無理、逆にすごいプレッシャーがある中でどうすればいいのかを考えた。(アドレナリンが出ていて)すごいパワーが出ている状態、ここでいつも通りの演技をしようとすると誤差がでて失敗をする。火事場のバカ力が出ている時に、すごく緊張している中でどう体を動かすか、把握して受け止める。

鉄棒にポンと飛びついてスーっと体を上げて倒立、行き過ぎないように前に回り片手の大車輪、鼻の前に手がなきゃいけない、すこしずれたら修正、離れ業で手を離した、鉄棒が見えた、見えたら持て、広げたら触れ、触ったら握れ、0.0何秒の間に一つひとつ確認をする、大車輪の勢いをつけて空中にボンと飛び出す、伸身2回宙返りで手を離した瞬間胸を後ろにグーっと引っ張る、大きく回って1回半、頭が下に来た時着地マットが見える、落ちるスピードと足を持ってくるスピードが合えばいい、足が床に着いた瞬間、しっかり足の指でマットを掴む。イメージ通りの着地ができた。電光掲示板には10.00。
金メダルを決めた。

演技後に熱を計ると36.5度。
それだけオリンピックは緊張感とプレッシャーを感じていた。オリンピックには女神も魔物もいる。
そのような緊張感をもって選手は臨んでいる、今年のオリンピック・パラリンピックを「そのような気持ちでご覧ください」。

自身は27歳で夢がかなったが「夢は死ぬまで持ってください」と来場者に語りかけた。夢を叶えるためには運も必要、商店街のくじとかは「はずれた方がいい」。「そんなところで運を使ってしまわないで貯めてください」と話し講演を終えた。

参加者からは「落語家みたいだったね」という声が聞かれたが、森末氏は1時間半近い講演を落語か漫才のネタのようによどみなくスラスラしゃべり続け、休憩もとらず、水も飲まずに話し続けた。

森末慎二氏スポーツ講演会の様子

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