【スポーツ振興】『カヌーで地域活性化!』講演会

img_5899

『カヌーで地域活性化!』講演会

カヌーを通じた「人・仲間・環境」育成で元気なまちづくり

11月19日(土)午後1時半から三条市役所栄庁舎3階ホールにおいて、パネルディスカッション形式の講演会「カヌーで地域活性化!」が一般社団法人三条市体育協会の主催で開催されました。
一般の方や分水高校カヌー部の生徒など約70名が、リオ五輪で銅メダルを獲得した羽根田選手の話や世界のカヌーを取り巻く環境、またトップアスリートのコンディショニング方法などを熱心に聞く中、當銘孝仁選手の東京オリンピックでの「金メダル」宣言も飛び出すなど4年後に期待が向けられました。三条体協事務局長の岩瀬晶伍さんは、笠堀ダムや五十嵐川などカヌー競技に最適な環境が三条にはあるとして、生涯スポーツとしてカヌーに親しんでもらう大きなムーヴメントにしたいと意欲を示しました。
img_0357講演会はカヌースプリント競技で東京オリンピックに出場・メダル獲得が期待されている當銘孝仁選手(とうめたかのり、(一社)三条市体育協会所属)、リオ五輪の銅メダリスト羽根田選手を指導したカヌースラロームコーチの山中修司氏、日本のトップアスリートのトレーニング施設である国立スポーツ科学センター(JISS)でトップアスリートのトレーニングに携わっている山田亜沙妃氏(やまだあさひ)の3氏のパネルディスカッション形式で進められました。進行は、いわて国体で活躍した分水高校カヌー部顧問でいわて国体カヌースプリント監督の澁谷毅さんと、いわて国体カヌースラロームワイルドウォーター監督で現役選手、三条体協事務局長の岩瀬晶伍さん。
img_5827
初めに、本多圭選手((一社)三条市体育協会所属)など、いわて国体に出場したカヌー競技の新潟県選手5名が紹介された後、三条体協の野崎勝康会長、新潟県カヌー協会会長の塚田一郎参議院議員が挨拶をして講演会が始まりました。
img_5829img_5831

リオ五輪メダルの裏側

最初に山中氏に、リオ五輪でカヌー日本初のメダルを獲得した羽根田選手のメダル獲得の裏側を聞きました。

11年かけての銅メダル

羽根田選手は高校卒業と同時にスロバキアに渡りましたが、それはスラロームの国際大会が行われる人工コースが日本になかったから。その後北京、ロンドンと五輪に出場しますがメダルには届かず。それまではカヌースラローム日本代表のコーチは2名体制。2名で代表11名の選手を見ていましたが、リオに向けて指導体制を強化することになり、コーチが4名に増え、羽根田選手にはコーチが1名つきました。強化が奏功し羽根田選手は11年かけて、3度目のリオで、待望のメダルを獲得することになります。
img_5876

練習を抑える?!

山中氏は指導の中で難しいのが練習を抑える事だと言います。選手は大会が近づくとプレッシャーで練習をしたくなる、練習量を増やしたくなる。ピークをレース当日に持っていくためにはそれを抑えなければならない。今まではそれがなかなか難しかった。今はJISSと協力して、血液検査を行いコンディショニングの数値化ができるようになった。数値化することによって、その状態で練習をしてもパフォーマンスが上がらない事を選手達に理解させることができた。これがメダル獲得にも役にたった、としました。

東京オリンピックへの展望

4年後に迫った東京オリンピックへの展望を當銘選手に尋ねると「まず開催国枠があるので出場には有利」だと述べ、リオ五輪後に「外国人コーチに変わったのが大きな分岐点」としました。
img_5889

『金メダル』宣言も

現コーチのペドロ・セナ・ジュニアさんは元ブラジル代表コーチで、リオ五輪では3人のメダリストを指導した優秀なコーチ。當銘選手にとってペドロコーチが教えてくれる最前線の情報が大変重要で、ペドロコーチになってから「成績やタイムは明らかに良くなっている」。今後は海外の環境に身を置いて上げていく。東京ではメダルを取るのが目標だが、羽根田選手が銅メダルを取ったので、自分はそれ以上とし、『金メダル』を宣言しました。

日本チームとしてトップを狙う!

山中氏は「東京五輪を支える立場」として、選手は海外に出ていって自分がどの位置にいるのかを確認し、他の選手はどんな技術を使っているのか掴まなければならない。(自身は)情報を集め日本チームとしてトップを狙う!としました。

選手育成について

JISSで各競技のトップアスリートのサポートをしている山田氏は、JOCのエリートアカデミー(EA)についてジュニア世代からの育成の話をしました。
EAはレスリング、卓球、フェンシング、飛込み、ライフル射撃の5競技の13歳から18歳が対象で、ナショナルトレセンで共同生活をし、近くの学校に通いながら競技漬けでオリンピックで活躍できる選手を育成するもの。卓球の平野美宇選手がEAを受けています。競技力の向上は望めるものの、地元に帰れるのは年2回程度とあって、「いいのかどうか?」と疑問を呈し、フランスの例を上げました。仏では15歳以上からEAを始めます。15歳までは「親の愛情の元に置く」という考え方です。
img_5873

カヌー競技を始めたのはいつ?

パネリストの3人にカヌー競技を始めたのはいつ頃かを尋ねると、當銘選手は「高校生から。それまでは、野球、サッカー、バスケット、いろんなことをやったが長く続かなかった」。山中氏は「15歳から始めた。同学年には15歳で優勝している人もいた。年齢的には遅いスタートだと感じたので高2で休学してスロベニアに留学した」。山田氏は「11歳から父親の影響で始めた。トップ選手は大体10歳位から始めている」等の発言を受けて岩瀬事務局長は、三条体協では小さい頃から運動に親しんでもらおうとしているが「トップアスリートを目指すだけでなく多様な運動をしてもらう」ことが大切だとしました。山田氏は「カヌーの始める前は体操をやっていた。トップアスリートの中には幼児期から競技を始めている人も多いが、他の競技をやっていた人も4割いる」ことから幼児期は総合的な運動を経験して「15歳位から専門的な競技を始めるのが良いのではないか」と話し、山中氏も小さい頃は神経系の発達が大きいので「いろんなスポーツを体験するのが大切」で、カヌー日本代表選手も冬の間はバスケットやスキークロスカントリーなど他のスポーツを行っていることを説明しました。

世界のカヌー事情について

カヌースラロームの人工コースは日本にはありませんが、仏には町にカヌーコースがあり、中国では北京五輪から建設が進み現在は8つの人工コースがある、と山中氏。山田氏は、米では1年に1個のペースで作られていてラフティングなどのレクリエーションとしての活用もされていると話します。當銘選手は、欧州ではカヌー選手がCMに起用されていたりして「スポーツ選手としてリスペクト(尊敬)が違う」と感じたそうです。

日本でカヌーの盛んな場所は?

日本の中でカヌーに一生懸命取り組んでいる地域として山田氏は、東京の青梅市が海外と同じような環境であることを、當銘選手は愛知県みよし市のカヌークラブを上げました。澁谷先生はみよし市のカヌークラブについて、「クラブの子供が高校に入ると高校では1人でも部活として認める。練習や大会の活動は全てクラブで面倒をみる」と説明、「モデルケース」と言えるとしました。
img_5896

地域とカヌー

生涯スポーツとして子供も大人も一緒に!

テーマは地域とカヌーの話へと移り、當銘選手は故郷沖縄糸満市のハーリーが憧れだったことから「地域と密着しているあそびのスポーツになったらいいのでは」とし、山田氏は「ドイツではミュンヘン五輪(1972年)の時に作ったカヌーコースが今だにある。カヌーは子供も大人も同じコースで一緒にプレイできるスポーツ」、「カヌーは競技スポーツだがアウトドアから生まれたスポーツ。小さい子から高齢者まで楽しめるスポーツ」(山中氏)で、2人ともカヌーが「三条でも生涯スポーツになったらいい」と希望しました。岩瀬事務局長は、笠堀ダムではスプリント競技ができるし五十嵐川ではスラローム競技ができる、両方の種目ができるのは「三条くらいではないか」と強調し、三条で「生涯スポーツとしてカヌーに親しんでもらう大きなムーヴメントにしたい」と意欲を示しました。
img_5860

カヌーと企業をつなぐ

カヌーと企業の関わりあいについて山田氏は「海外ではラフティングを会社のチームビルディングとして使っている」ことや国内でも「婚活ラフティング」がはやっていることを紹介。山中氏は女子選手がその所属企業の広報紙に活動状況を掲載することで、会社も一緒になって応援してくれる例を紹介。岩瀬事務局長は「三条体協がくさびになって、地域の活性化をしていきたい」と締めくくりました。
img_5837

学生にもできる!
コンディションを簡単に知る方法

質疑応答では高校生のカヌー部員から、血液を使ってコンディションを数値化するという話について、学生でもできるコンディションを知る方法はないか?という質問があり山田氏は「まずベストの状態を知ること」とし、その状態を何の物差しで測るかを知ることだと説明。身近で簡単に測れるものとして、体重や体脂肪を測ることでも体調管理ができることを話しました。
食事管理は?部活後の食事は?の質問に當銘選手は「揚げ物はダメ、酒はダメともいわれるが、(自身は)体重の管理をしっかり行うことで何を食べてもいい」ことにしてストレスを貯めないようにし「あとは競技に集中する!」。山中氏は現役時代にプロテインを摂ったが「効いた」、「今の選手は普段の食事から摂るようにしている」。山田氏はJISSの立場から、食事を自分で作る事の大切さを説き、(その競技にとって)どんな体がいいのか知る事、トップ選手の体を知る事を勧め、その管理をするには「測る」事が大切で、例えば腕周り、胸囲、ウエストのサイズをメジャーで測るだけで体調管理ができると答えていました。

パネリスト紹介
img_5889_tome 當銘孝仁選手
(とうめたかのり)
沖縄県糸満市出身
(一社)三条市体育協会カヌー育成指導員
2016年カヌースプリントC-1日本代表(A代表)
平成28年度日本カヌースプリント選手権大会C-1 1000m優勝
希望郷いわて国体C-1 500m優勝・200m4位
リオ五輪アジア大陸最終予選C-2第4位
img_5876_yamanaka 山中修司氏
(やまなかしゅうじ)
東京福生市出身
(公社)日本カヌー連盟専任コーチ
リオ五輪カヌースラロームコーチ
カヌースラロームK-1元日本代表
img_5873_yamada 山田亜沙妃氏
(やまだあさひ)
千葉県流山市出身
(公社)日本カヌー連盟カヌースラローム強化スタッフ
国立スポーツ科学センター(JISS)スポーツ科学部測定技術者
2010年第16回アジア競技大会カヌースラローム第3位

img_5899

Comments are closed